しまなみ海道縦走夢サイクリング 2023.9.16~17
心が震える先には 金色の道がある【第2弾】
『可能性は無限大 しまなみ海道縦走夢サイクリング』
この物語は、十万分のIと言われる「脳動静脈奇形」による右半身麻痺の試練に立ち向かう、佐川陸君の夢から始まりました。2020年8月12日に佐川家を突然襲った病い!!
NONちゃん倶楽部との出会いは、2021年11月14日「サイクルチャレンジ2021in競輪場」に、ご両親と初参加。その時、来春歩いて卒業式に出ることが最大の目標とお聞きした時、日常生活でCOGYを使うことを提案。高校生活の空間で2台のCOGYを使って学内移動。卒業式に歩いて出る目標が達成できました。2022年5月15日の「サイクルチャレンジ2022in競輪場」では、しまなみサイクリングに夢抱き、バンクを13周できるという目覚ましい成果に驚かされました。この時脳性麻痺で自力歩行が困難な久保大翔君も、日本一周の夢をテレビの取材の際に言っているではありませんか。えっ!!どえらい夢を語るものだと思いながらも、プロジェクトを始動すると決めた瞬間でした。そんな中で、2022年6月26日「タンデム・自転車&シーカヤックおまけにラン」という明浜でのイベントに、陸君とリハビリで出会った渡部梨乃ちゃんが初参加。十万分の一と言われる「脳動静脈奇形」でこんな若い子達が試練に立ち向かっているのかと驚いたものです。梨乃ちゃんも、イベントに参加するうちに同じ夢を抱くようになり、2022年9月25日、大翔君は2度目でしたが、3人で無事「愛媛県障がい者サイクリング大会しまなみ」に参加して、完走できたのです。この成長を見守ってきたパイロットボランティアの河上さんにも相談して、「可能性は無限大 しまなみ海道縦走夢サイクリングプロジェクト」実行の方向に舵をきる決心をしたのです。
今回のプロジェクトの目標の一つは、タンデム自転車NONちゃん倶楽部での体験を元に、日常生活での家族・親族によるタンデム自転車生活への可能性の扉が開かれることです。
そんな中で一番神経を使ったのは、自力歩行が困難な大翔君のパイロット体制でした。2日に渡る78キロのアップダウンの道程を、安全に走り切るためのベテランパイロットとして伊賀上さん・河上さんに加えて、世界を股にかけてライドをしている米田さんに加わっていただきました。梨乃ちゃんのパイロットにはトレーナーの窪田さんについていただき、叔父さんにパイロットデビューしていただくという機会になりました。
私のパイロットには米田真紀さんについていただき、72歳にして初チャレンジとなる「しまなみ縦走夢サイクリング」。身体のメンテを補助して頂きたく、視覚障がいの佐々木さんと梅田さんにも参加して頂き、共に完走できた喜びは、言葉では言い表せない感動です。
米田真紀さんの感想文
NPO法人タンデム自転車NONちゃん倶楽部。
障がいを抱える人と一緒にタンデム自転車を楽しむイベントを多く手掛けています。
イベント参加者の中で、しまなみ海道縦走したいというメンバーが出てきて、2023/9/16-17の2日間で縦走にチャレンジする事になりました。
チャレンジャーは5名。
足が不自由な若者3名と目の不自由な大人2名です。
そして、サポートメンバーとその家族合計26名。
その中で、私は津賀代表のパイロット役を担当する事になりました。
津賀さんもしまなみ縦走は、初めて。御年72歳で、しまなみ海道縦走チャレンジです。
コースは、今治の糸山サイクリングターミナル出発し、尾道ゴールの70km。途中の生口島で宿泊して2日間で走ります。
お天気は、熱中症になりそうな灼熱。
スタートして、来島海峡大橋を渡り、大島のよしうみバラ園で、アイスを食べて休憩。
そののちに、今回最大のピーク宮窪峠を越えます。
「真紀ちゃん、大翔の後ろについて」津賀さんからの指令が入ります。
ペダルを漕いでさっと大翔君の後ろにつきました。
「がんばれー」津賀さんの声援が響き渡ります。
日頃自転車乗らない人は、結構押し歩きしている宮窪峠。
大翔君は、足が不自由な身で、苦しいながらも一生懸命ペダルを漕ぎます。
そして、坂の途中で大翔君のパイロット交代。
万全の体制で難所をクリアできました。
大島大橋、大三島橋、多々羅大橋の坂も津賀さんの声援が飛びます。
「よいしょ」「がんばれ」等登り区間をずっとみんなを応援してくれる津賀さん。
こんな暑い日に、ミニベロタンデムだから走りながら水を飲む事も出来ない状態で、ずっと坂を上がる間声を出して応援しています。
みんなにもその熱い気持ちが伝わります。
そして、1日目全員生口島まで前半のルート40km完走しました。
2日目は、30km。
距離は短いですが、前日の疲労を抱えてのライドです。
しかし、パイロットとCoパイロットの連携やチームとしての連携もレベルアップしています。
暑さの対処も向上しています
「真紀ちゃん、前に追い付いて」とか津賀さんからオーダーがいっぱい出ます。
このチームの指揮を高めるには、津賀さんの声かけが要です。
オーダー通りに車に気を付けながら、応援の声を届けようと縦横無尽に隊列の中を動き回ります。
私も津賀さんと一緒に声を出してみんなを応援しました。
お昼ご飯の時に、読売新聞の記者さんが、このイベントの取材記事をスマホで見せてくださいました。
「真紀ちゃん読んで」と津賀さんからリクエストがあったので、新聞記事を音読しました。
大翔君がメインに書かれた記事でした。
読みながら、目に涙がこぼれそうになり、声が震えるのをぐっと我慢して、内容を津賀さんに伝えました。
今まで以上に全員で完走したいという想いが沸き上がりました。
そして、最後の坂。因島大橋にかかりました。
みんな一生懸命ペダルを回します。
「よいしょ」「よいしょ」とまるでお神輿を担ぐような、津賀さんのかけ声が響きます。
私も合いの手のように「よいしょ」とかけ声をかけていきます。
暑くて喉がカラカラですが、最後振り絞って走りました。
向島に入ると、きらめく海が見えました。
そして、焼けつくような日差しのもと渡船乗り場に着きました。
全員、事故も怪我もメカトラも無くゴールです。
津賀さんが、涙ぐみながら、みんなと抱き合う姿を見ながら、お手伝いできてよかったと思いました。
チャレンジしている5名と津賀さんに元気もらいました。
私もがんばろう!